P&Gジャパン合同会社

自分を縛るものだった髪が、自分を表現するものになった喜び
イシヅカユウさんに聞いた、自分らしさを表現するということ

ファッションモデルとして活躍するイシヅカユウさん。最近では自身の体験談からトランスジェンダーとしての考えをテレビやラジオで語ることも多い彼女が、#PrideHairのキャンペーンで注目されたパンテーンミセラーのCMに起用された。イシヅカさんに、ヘアスタイルやファッション、自分らしさについての思いを聞いた。 (聞き手/宇田川しい)

2000万回再生を超えた#PrideHairの動画に込められた“自分らしさ”への想い

昨年9月から公開されているトランスジェンダーの元就活生に焦点を当てたパンテーンの動画は記憶に新しい。

#PrideHairと題されたこの動画ではトランスジェンダー当事者が登場し、就活の際に要求される髪型や服装の「女らしさ」、「男らしさ」によって思い悩まされた経験を率直、かつ真摯に語る姿が多くの人の共感を集めた。動画は公開から1週間で2000万回再生を超え話題となっている。

P&Gでは2018年から「#HairWeGo さあ、この髪でいこう。」というブランドメッセージ掲げたキャンペーンを行なってきており、#PrideHairもその一環。これまでも、黒いひっつめ髪に象徴される「就活ヘア」や、学校で地毛なのに黒染めを強要される「地毛証明書」などをテーマに、日本社会の同調圧力に疑問を投げかけ、ひとりひとりの個性の尊重を訴えるキャンペーンを行なってきた。

そうした活動で多くの就活生の話を聞く中でLGBTQ+の就活生が抱える困難が見えてきたことが#PrideHairの誕生につながった。こうした、自分らしさが尊重される社会を実現するための、いわば考えるきっかけを問うてきた同ブランドが、4月下旬より新たに展開する新パンテーン PRO-VミセラーシリーズのCMに起用したのがファッションモデルのイシヅカユウさんだった。

押しつけられた「らしさ」に苦しんだ子ども時代

――今回のミセラーシリーズCMへの起用は、「サラサラ髪がワタシのチカラ」というテーマということで、イシヅカさんご自身も「サラサラ髪がワタシのチカラ」となっているストーリーをお持ちとのことですが具体的にはどのような体験ですか?

イシヅカユウ 私は、子どもの頃は男の子としての髪型をさせられていました。髪の毛を伸ばしたりさせてもらえなかった。髪型によって自分の性を決めつけられているという感覚がありました。妹が髪の毛を伸ばしたり、パーマをかけたりしているのが本当に羨ましかったです。

――なるほど、自分らしくない髪型を押しつけられていたわけですね。

イシヅカユウ それでも小学校の頃から、許されるギリギリの長さまでは伸ばしていました。当時、内田有紀さんが人気でボーイッシュな髪型が流行ってたので参考にしたりして。本当はもっと長く伸ばしたかったんですけど。セーラームーンが好きで、ロングヘアに憧れていました。

――ギリギリまで伸ばしていたって、なんだか切ないですね。

イシヅカユウ 髪型や服装のこと、行事などで男女が別れることがとても苦痛で、小学校高学年になると、ストレスから自分の髪の毛を抜いてしまう抜毛症になってしまったんです。前髪がなくなってしまうくらいひどくて、普段は帽子を被って過ごしていました。その後、中学2年の時には学校に行くこともできなくなってしまったんですが、そのことで抜毛症は治ったんです。それから髪の毛を伸ばし始めました。

――高校の頃にはもうロングヘアだったんですか。

イシヅカユウ はい、高校にはもう女性として通っていましたから。中学の時に学校に行けなくなったタイミングで、両親にカミングアウトしたんです。両親はいろいろと探してくれて新設の自由な校風の高校を見つけて、各所に掛け合ってくれて女性として通うことが認められました。

昔の自分と同じ悩みを持つ人にも、新パンテーン ミセラーのCMを見てほしい

――それからは、自分らしい髪型をすることが出来るようになった。

イシヅカユウ そうなんですが、それからが試行錯誤でした。女性としてのヘアケア、男性としてのヘアケアというのは確立されていますが、自分に限らず定型的な体質ではない場合にはこうすればいいという方法が提示されていない。身体的に男性で髪の毛を伸ばしたい人のヘアケアは確立されてないんです。身体的に男性であることから、どうしても頭皮に皮脂が出やすい。そういう自分の体質に対してどうケアをすればいいのかというのが分からなかった。誰かを真似ようにもロールモデルになる人もいないですし。でも、それまではヘアケアも自分で選択できなかったので、試行錯誤することもむしろ楽しかったですけどね。

――最近では俳優としてもお仕事をされています。今後、モデルと俳優の二足の草鞋という形になるんでしょうか?

イシヅカユウ これからも映画の仕事はしていくと思いますが、やはり自分はファッションモデルの仕事が好きで、そこに軸足は置き続けるのだと思います。そしてファッションモデルに軸足を置きながらも、どんどん新しいことに挑戦していきたいですね。今はcovidのこともあって難しいですが、将来的には海外にも仕事の場を広げていきたいです。

――ファッションモデルになったのはどういう経緯からですか?

イシヅカユウ 高校時代にはファッションデザイナーになりたいと思っていて服飾関係の専門学校に進んだんです。その頃に知り合いに頼まれてヘアモデルをしたりしていました。そのうちに、ファッションモデルもやってみないかって言われてやってみたら面白かった。こういう形で服のクリエイションに関わるのもいいなと思ったんです。ちょうど、その頃にパリコレでトランス女性のアンドレア・ぺジックさんが活躍し始めたことも、自分の気持ちを後押しくれました。

―現在は、先ほど出てきたアンドレア・ぺジック以外にも活躍しているトランスジェンダーのファッションモデルは大勢います。そして、その人たちは必ずしもトランスジェンダーであるという部分で起用されているわけではない。時代も変わっていってるなという気がします。

イシヅカユウ そうですね、少しずつ変わっていっているとは思います。ただ、今でも、昔の私のように悩んでいる若い人は少なくないはずです。それはLGBTQに限らないでしょうけど。私は甥っ子、姪っ子が3人いていちばん上がまだ5歳なんですけど、この子たちがもっと生きやすい社会にするために活動していきたいなと思いますね。私は中学校の半分くらいは通えてない。そのことはとても心残りです。これからの子どもたちには私のような経験をさせたくありません。悩まなくていいことで悩んでしまって、本当に自分のやりたいことができないようなことがないように、社会を変えていきたいですね。

――パンテーンのようなメッセージ性のあるCMは社会を変えていく力になるかもしれませんね。

イシヅカユウ そう思います。それまで自分を縛るものだった髪が、自分を表現するものに変わった。そういう経験があるので、パンテーンミセラーのCMに出演が決まった時には嬉しかったです。内容的にも自分の経験をフィーチャーしてもらって、大勢の人に見てもらえる。昔の自分と同じように辛い気持ちでいる人がこのCMを見て、1人で悩みを抱え込まなくていいんだと思ってもらえたらいいですね。

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